1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/26(火) 01:47:21.38 ID:i5pOqTtP
徳川家康が江戸に幕府を開いて早三十五年余、時は寛永。
戦国の世も今は昔。されど剣に生き、剣に死ぬことを尊ぶ者はいまだに多いと聞く。
宋太郎という男がいる。彼の父親は剣術道場を営んでおったのだが、宋太郎が幼き日に他流試合に敗れ、それを気に病んでは遂に腹を切った。
父なき後の宋太郎は復讐に燃え、父を降した藍播流 貝腹派 貝腹会の師範が貝腹又之助を打倒とし、日々鍛錬を怠ることなし。
やれその悲願、ついに本日達成するか。
昨年から幕府が制定した参勤交代。
全国より大名がこの江戸の町に押し寄せれば出店だ笛だと祭りのような賑わいを見せた。
殊更に人気を集めたのは剣術の試合であり、全国の猛者たちがこぞって腕を競い合った。
なればこそ将軍のお膝元で、他所の藩に負けるわけにはいかぬと強者を募り、参勤交代で訪れた腕自慢を相手に大規模な剣術大会を開くことと相成った。
大会では真剣の使用が許可され、宋太郎は破竹の勢いで並み居る強豪を降して決勝へと躍り出た。
決勝戦。その相手は誰であろう藍播流 貝腹派 貝腹会が師範、貝腹又之助の奴であった。
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/26(火) 01:49:12.69 ID:i5pOqTtP
貝腹「くはははははァ!!!誰かと思えば、あの時の小僧ではないか!
なに、真剣勝負だ。父親と違って腹を切らずとも、すぐにあの世で再開できようて!」
宋太郎「貴様ァ!父上を愚弄しよってから!!」
相手の挑発にカッとなる。宋太郎が持つ魔剣レグゾールを握る手にも力が入るというものだ。
だが客席より宋太郎を励まし応援する声に耳を貸す余裕がまだあったのは幸運であった。
エル「落ち着いてソータロぉー!ミスター貝腹はユーの集中力を乱すのが狙いなのデース!!」
声援を送る彼女。名をエルという。
エルフだ。
剣術修行で全国をまわっていた宋太郎が、富士の樹海で出会いしエルフ也。
以来、宋太郎を慕い付いてきて今に至る。
宋太郎「そうだいつも心に明鏡止水。気を乱してはいけない」
貝腹「ほう、剣士の目つきになったな。それでこそ、だ!」
はじめぇぇぇい!!!
開始の号令を合図に、剣に生き剣に死す二匹の剣獣が衝突す。
なに、真剣勝負だ。父親と違って腹を切らずとも、すぐにあの世で再開できようて!」
宋太郎「貴様ァ!父上を愚弄しよってから!!」
相手の挑発にカッとなる。宋太郎が持つ魔剣レグゾールを握る手にも力が入るというものだ。
だが客席より宋太郎を励まし応援する声に耳を貸す余裕がまだあったのは幸運であった。
エル「落ち着いてソータロぉー!ミスター貝腹はユーの集中力を乱すのが狙いなのデース!!」
声援を送る彼女。名をエルという。
エルフだ。
剣術修行で全国をまわっていた宋太郎が、富士の樹海で出会いしエルフ也。
以来、宋太郎を慕い付いてきて今に至る。
宋太郎「そうだいつも心に明鏡止水。気を乱してはいけない」
貝腹「ほう、剣士の目つきになったな。それでこそ、だ!」
はじめぇぇぇい!!!
開始の号令を合図に、剣に生き剣に死す二匹の剣獣が衝突す。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/26(火) 01:51:02.97 ID:i5pOqTtP
壮絶な二人の斬り合いは、目にも止まらぬ速さで繰り広げられ、並の実力者では何がどうなっているかも理解できぬであろう。
エル「なにがDOなっているの……?」
彼女の疑問に応える者あり。
サリー「押しているのは宋太郎だニャ。しかし、貝腹は危なげなく宋太郎の魔剣連舞斬(ダークネスカッター)を防いでる。まだ勝負はわからないニャ…」
彼女の名はサリー。
猫の獣人である。
数年前、雨の中で段防留(だんぼぅる)にうずくまりて鳴いていたサリー。「お前も一人なのか」と番傘を差し出した男こそ、誰であろう宋太郎その人である。
以来、彼女は宋太郎を慕い付いてきて今に至る。
これは余談であるが、江戸時代の庶民は傘の使用を禁じられていた(殿、利息でござる!で見たから僕知ってるんだ)。
この事から、宋太郎の身分は悪くはなかったのだと窺い知ることができよう。
サリー「ま、もし負けてもエルが回復魔法で宋太郎を治してあげればいいんだニャ」
エル「NO!ソータローは負けません!ミーは信じてマース!」
言い切るエルを目の当たりにして、サリーは(エルには勝てないニャぁ)と納得する。
宋太郎と貝腹の宿命の対決を前に、ここに一つの正妻対決が決着したのであった。
エル「なにがDOなっているの……?」
彼女の疑問に応える者あり。
サリー「押しているのは宋太郎だニャ。しかし、貝腹は危なげなく宋太郎の魔剣連舞斬(ダークネスカッター)を防いでる。まだ勝負はわからないニャ…」
彼女の名はサリー。
猫の獣人である。
数年前、雨の中で段防留(だんぼぅる)にうずくまりて鳴いていたサリー。「お前も一人なのか」と番傘を差し出した男こそ、誰であろう宋太郎その人である。
以来、彼女は宋太郎を慕い付いてきて今に至る。
これは余談であるが、江戸時代の庶民は傘の使用を禁じられていた(殿、利息でござる!で見たから僕知ってるんだ)。
この事から、宋太郎の身分は悪くはなかったのだと窺い知ることができよう。
サリー「ま、もし負けてもエルが回復魔法で宋太郎を治してあげればいいんだニャ」
エル「NO!ソータローは負けません!ミーは信じてマース!」
言い切るエルを目の当たりにして、サリーは(エルには勝てないニャぁ)と納得する。
宋太郎と貝腹の宿命の対決を前に、ここに一つの正妻対決が決着したのであった。